頼れる男?











昼休み、天気がよかったので、中庭で昼を食べていた。
ちなみに杏の手作りの弁当だ。

「ん〜、それにしても杏の作ったものはいつ食ってもうまいな〜。」
「ありがとう、朋也。まあ、あんただからよりおいしく作ってるのよ。」
「お姉ちゃん、それじゃあ私のお弁当は

なんだか手を抜いてるように聞こえるよ。」

「何いってるのよ、椋。当然、椋のお弁当もおいしく作ってるわよ。」
「どうせ、お姉ちゃんには妹の私より彼氏の朋也くんの方が大切だもんね。」
「・・・椋、やっぱりあんた朋也と付き合ってから性格変わったわ。」

拗ねている(明らかに演技だが)椋を杏がなだめている。
何か俺が杏と付き合いだしてから、杏と椋の関係が微妙に変わった。
杏と椋が対等になったというか、むしろ椋の方が強くなった気がする。
まあ、椋が自分の意見をはっきり言うようになったと言えばいいことだ。

「ちょっと、朋也。何他人の振りしてるのよ。
そんなことないって椋にいってやってよ。」
「分かったよ。本当の事言えば良いんだな?」

そうよ、と頷いた。

「椋、はっきり言おう。実は俺と椋の弁当は明らかに違う。」
「そうそう…って何言ってるのよ。椋、朋也の言うことは嘘だからね。」
「だって、今日の中身も弁当の中身が違った。」
「それは・・・あんたが男だから私たちより量を多くしてるのよ。」
「豚カツの形は俺のが一番よかったぞ。」
「…たまたまよ。」
「それに俺の弁当は品目多かったぞ。」
「そんなことないわよ。」

やば、脚色しすぎた。命が危ない。

「嘘だ、俺の見間違いだ。」
「・・・朋也、あんた死にたい?」

笑顔だが、何か後ろに死神いないか?ここは謝っておこう。まだ死にたくはない。

「スマン、俺が悪かった、杏。
ということだ、椋。別にそんなことはないぞ。」
「分かりました。納得しときます。」

どうやら、分かってもらえたらしい。

「ちょっと、何で朋也の言うことはすぐに納得しちゃうのよ。」

説得したというのに怒っている杏。

「いいじゃないかよ杏。納得したんだから・・・」
「それは朋也くんが私の前の彼氏だからですよ。」

笑顔でそんな事言っちゃったよ。この娘は。

「それにしても今日はいい天気だな〜。」

何故人は困ったら天気の話をするのだろう。

「そうね、今日は絶好の辞書投げ日和ね。」

んな日はねえよ。大体毎日日和じゃないかよ。
そう思っても言えない。隣の杏からは明らかに冷気、いや凍気がきてるし。

「事実を言っただけですよ、お姉ちゃん。
昔の話ですから。気にしなくていいですよ。」

相変わらず笑顔の椋。・・・やっぱりキャラ変わったよ、おまえは。
そんな時救世主が現れた。

「あ、春原。お〜い、春原〜。」

いつもなら来るな!と言いたいが今だけはさすがに感謝だぞ。

「岡崎じゃん。今そっち行くぞ。」

こっちに来て一言。

「何かここの辺だけ空気が重くない。
杏と喧嘩でもしたか? それなら早めに逃げとけよ。」

さすが、春原。瞬時にここの危険度を感知しやがった。
いつも死と隣り合わせの人間は違う。

「俺じゃなく、杏と椋だよ。」

と言って、視線をそちらに向ける。


「椋、朋也は今私の彼氏なのよ。昔の事なんかここに持ち出さないで。」
「お姉ちゃん、そんなに怒った顔ばっかしてると、男に逃げられるよ。」
「別に朋也以外の男なんてどうでもいいわよ。」
「そんな顔じゃ、朋也くんも逃げちゃうよ、お姉ちゃん。」


俺の話で喧嘩するな。飛び火したらどうするんだよ。

「ねえ、朋也。私のこと嫌ったりしないよね?」

こえ〜〜〜。ここで頷かないと、今日の昼寝が永眠だぞ。

「あ、ああ。もちろんだぞ。」
「ほら聞いた、椋。朋也はああいってくれたよ。」  
「まあ、朋也くんもまだ死にたくないもんね。」

そんな顔するな、杏。傍からみたらそう思われてもしょうがない顔してるぞ。
・・・俺に恨みでもあるのか? 椋。・・・まあ、ない事もないが。

「モテモテだな、岡崎。」
「ハハハ、オレトッテモウレシイヨ。」

こんなヘタレに同情された。はっきり言って死にたいぞ。
とにかくこの空気を何とかしないと・・・。
やはり、ここは春原をうまく使うか・・・。
いい案が浮かんだ。これでいってみよう。

「おい、杏。」
「何よ、朋也。」

目が怖いですよ、マジで。それは飲み込んだ。

「ん? いつから陽平いたの?」
「私も気づきませんでした。」

姉妹に苛められ、凹み気味の春原。まあ、そんなのはどうでもいい。

「ああ、実は椋に告白しにきたらしい。」
「「「は?」」」

俺以外の3人が唖然とした。もちろん春原も。

「・・・・・・」

口に手をあてて考えている杏。そして、

「遠慮なくどうぞ。むしろあげるわよ。」

悪魔系の笑顔の杏。まあ、大体考えは分かる。
しかし、それこそ俺のわなにはまった証拠だ。

「お、お姉ちゃん。何言ってるの? 私春原くんとは…。」
「大丈夫よ、椋。お姉ちゃんは全面バックアップするから。
むしろ結婚も了承しちゃうよ。」

とても、楽しそうにしているよ。さっきはやられていた立場だっただけに
ここぞと言わんばかりの仕返しをしている。

「あの〜、僕は別に・・・・・・」
「ちょっと待て、杏。」

春原の言葉を遮る。

「何よ、朋也。これは私たちの問題よ。朋也には関係ないわよ。」

おまえにも関係ないと思うぞ、杏。

「いいのか? 本当に結婚までさせちゃって。」
「いいのよ。私を苛めたお返しよ。」

おまえを苛めない方がいいことを今ものすごく知ったよ。
俺もどうなるか分かったもんじゃないな。

「だって、もし椋と陽平が結婚したら
おまえと陽平は義姉弟だぞ。」
  

  
「・・・・・・」
「あの〜、僕の話を聞いてもらえぶっ!」

春原の顔面に広辞苑がめり込んだ。

「よ〜う〜へ〜い。」

杏が辞書も持っていった。

「あんたには椋は渡さないよ。」

別におまえの物でもないが…な。

「大丈夫よ、椋。あんたは私が守ってあげるわ。」
「え、…ありがとう、お姉ちゃん。」

戸惑う椋。まあ、さっきといってること180度違うから当然だ。
自分に春原がかかわってくると分かった途端、これだよ。

「いたた、何でいきなり気絶しないといけないんですか。」

あれですぐ復活かよ。さすが春原。顔ももう戻ってるよ。スライムじゃないのか?

「人間ですよ、僕は。」
「あれ? 聞こえた?」
「ばっちり言ってますからね。」

はっきり言う春原(非人類)。

「ともかく、話をきいてよ、きょ…。」

またもや、顔面に辞書が。しかも連続で叩き込まれている。貫通しないか心配だぞ。

「あんたなんかに話す資格はないわよ。そこで、くたばってなさい。」

中庭にはピクピクしている春原。

「あ〜、景観が台無しだ。」
「誰のせいですか。」
「うわ、もう復活してやがる。お前本当に人間なのか?」
「そうですよ。」

う〜ん、こいつどうしよう
そこにちょうどいい人がきた。
以前、彼女が春原に抱きつかれたラグビー部だ。

「おい。」
「なんだよ。」
「あそこの金髪がまたお前の彼女狙ってるらしいぞ。」
「何!?」
「何か『あの子は抱き心地が良かったから、また抱きつきたいよ。』とか言ってたぞ。」
「そうか、ありがとうな。」
「ああ。」



「おい。」
「何だよ…ってひい、ラグビー部!」
「てめぇ、また人の彼女に抱きつこうとしてやがったらしいな。」
「え? なんの事ですか。」
「まあ、俺と裏で仲良く話し合わないか?」
「なんで指を鳴らしているんですか?」
「そりゃ、拳で語り合う準備だよ。」
「ちょっと待ってよ。うわわわあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーー。」




「ねえ、椋。」
「何、お姉ちゃん。」
「お弁当食べましょ。」
「うん、お腹すいたままだったね。」

どうやら仲は直ったらしい。
遠くから断末魔が聞こえたきがするがそんなことはないだろう。
この場を収めてくれた故・春原には何かお礼をしておこう。
ありがとう、春原。そして心の中で春原に言った。

「グッドスリープ!!」










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TK「やっと完成したわ。」
陽平「それにしても僕の扱い酷くないっすか。」
朋也「いや、いい方だろ。」
杏「命があるだけいいじゃない。」
朋也「そういうことだ。」
陽平「椋ちゃん、何か言ってくれよ。」
椋「…ごめんなさい。」
陽平「それって、どういう意味ですか。」
杏「色んな意味じゃないの?」
陽平「ここでもこんな扱いなんですか。」
朋也「とりあえずお前要らないから。」
陽平「酷すぎっす。」
朋也「それにしても、中途半端なSSだな。」
杏「作者自体が中途半端だし。」
椋「私の占いでも作者の将来は真っ暗です。」
TK「そんなこと言わないでよ。」
朋也「まあ、春原以下にはなるなよ。」
TK「あんなのにはなれませんよ。」
陽平「酷いいいようですねぇ。」
TK「というわけで意見等、感想待ってます。」
朋也「まあ、俺らには何にも関係ないがな。」
陽平「僕結局扱い悪かった。」




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