朋也の春原な日々   第1話









その日は普通の休日の雨だった。

「なあ、春原。」
「ん?何だよ、岡崎。」
「…暇だな。」
「そんなの仕方ないじゃん。こんな雨の日に外に行くのもだるいじゃん。」
「そうだな…、春原。お前にやってもらいたいことがある。」
「え? 僕に何してもらいたいの?」 
「とりあえず死んでくれ。もしくは意識不明にでも…」
「何さにげにものすごいこと言ってるんですか、あんたは!」
「だって、暇だしな…
ここは一つ春原に霊界体験でもしてもらおうかと思って。」
「そんな理由で死んでたまるかよ! 大体なんで僕だけなんッスか。」
「だって、春原なら死んでも戻ってこれるけど、
一般人の俺には無理だから。まあ、それにお前ならもし死んでも問題ないだろ。」
「そこはかとなくふざけたこと言ってますね。」
「大丈夫だ、春原。」
「何がッスか?」
「線香の1本はさしてやるからよ。」
「ううう…あんた鬼ッス。」
「あ、でも、お前が死んだら、大問題だな。」
「やっぱりそうでしょ? 僕って大切な親友だからね。」
「ああ、そのとおりだな。俺に本読ませてくれたり、
飯奢ってもらったり、俺のために杏の辞書の盾になったり、
俺のために智代の蹴りで空中に飛んでくれたり
そんな素晴らしい親友は他にいないもんな。」
「それ親友じゃないですから。
あと後ろの2つはあんたのためじゃないですよ。
なんで、あんたのためにあんな悲惨な目にあわないといけないんですか。」
「もう一つ、あったわ。」
「やっぱり、そうでしょ? 僕がいなくなると大変でしょ?」
「芽衣ちゃんが悲しむかも…しれないしな。」
「かも…って酷いですね、あんたは」
一般大衆の意見だと俺は踏んでいるんだが…」

といつもどおりの日々だった。

「こんな日常は嫌ですよ。」

といい、空になったを持って立ち上がった。
このやろう…人の心読むなよ。と思っていた。
このとき、この後の悲惨な出来事も知らずに…




突然何の前触れも無く
バリーーーーン、そして




メゴ!!
と春原の顔に何かがぶつかった。というよりめり込んだ。
「へぶらし!」と意味不明語を発して飛んだ。
と思っていると、何か目の前に金髪が飛んできた。
もとい春原が俺の目の前に飛んできた。

「やばい、ヘタレにぶつかる。ヘタレ病になる。」

その直後、俺と春原の頭が激突した。
そのとき、俺の頭に『酷いいいようですね。』という言葉が聞こえた気がした。




「う〜ん、ここは…」

起き上がると、そこは春原の部屋だった。

「確か春原とぶつかって、それで気絶したんだよな…」

意外に冷静だった。まあ、何かあるわけでもないし。
周りを見ると、何故か六法全書が転がっていた。
どうやらこれが春原の顔面に命中したらしい。
なぜ飛んできたはともかく発射元は明確だ。

「そうだな、気絶したヘタレでも起こしてやるか…」

そういって春原のところに行くと




何故かそこには俺がいた。




「・・・・・・・・・」

落ち着け、俺。ひょっとすると見間違いかもしれないだろ。
目を閉じて深呼吸だ。ふ〜〜、は〜〜。
もう一度見てみる。やっぱり俺が気絶している。
じゃあ、俺は誰?
そうだ、かがみ見てみればいいじゃん。盲点だったな。
あった。指紋だらけだがな。…汚い鏡だがこの際気にしない。
そして、鏡を見ると…


春原の姿があった。何で春原が?
俺が手を動かすと、春原も手を動かした。
口を動かすと、春原も動かした。ということは…
もしかすると、




「俺は春原になってしまったのかーーーー!!」




とりあえず春原を(叩き殴りながら)起こし、状況を説明した。

「ということだ。」
「というかなんか節々が痛いんですけど。」
「気のせいだ。辞書を顔面に受けたからだよ。」
「何か色々突っ込みたいけど…とりあえず夢じゃないの? これ。」
「とりあえず夢ではないらしい。」
「何でそんなこといえるの?」
「俺がお前殴ったとき、痛かっただろう。
だから夢ではないだろう。」
「そんな調べ方しないでくださいよ。自分の体でしょうが。」

そうだった。春原は今俺の体にいるんだ。
ということは「春原を殴る」=「俺を殴る」ということになる。

「何、そうするとこれからは春原に傷つけれないじゃんかよ。」
「あんた、本当に酷いっすよ。」
「あ〜、春原がボコられてるのを見ないと、生きた心地がしないんだが。」
「僕は常に生きた心地してませんが。」
「いや、そんなことより俺が春原の体になっていることがやばいな。」
「そんなことって…」

凹んでいる春原はこの際(まあいつも通りだが)無視だ。
そう、そこが最大の問題だ。
春原と俺が入れ替わっていることを知っているのは当人2人のみだ。
つまり、他の人にとっては俺は春原なのだ。
このままでは、俺が杏の辞書を顔面に受けたり、
智代の蹴りで空中に浮かんだり、ラグビー部にボコボコニされたりと
いつもの日課でそれだけあるのにそれ以外にもいろんな悲劇が毎日ある。
考えただけでつらい日々が待っているのだ。生きる希望湧かないじゃん。

「春原、よく考えたらお前すごいな。」
「ようやく僕のすごさが分かった。」
「ああ、毎日あの世と隣りあわせでよくそんなに笑顔でいられるな。
常人ならもう自殺してるよ。」
「僕の人生、そんなに悲惨なんですかね!?」
「ああ、というか今更気づいたのか。
この世屈指の鈍さがお前を長らえさせているんだよ。」
「ものすごく馬鹿にされている気がしますが。」
そのとおりだぞ、春原。まあ、ちょっとは褒めてる。
「まあ、唯一のプラスといえば、芽衣ちゃんという妹がいるだけだ。」
「僕の人生とはあんまり関係ないですね。」
「つまり、お前自体には生きる希望は見出せないということだ。」

まあ、春原になったメリットは親父に会わなくていいことと
芽衣ちゃんが妹になったことくらいだ。
つまり、春原になったこと自体デメリットなのだ。



その後はいつも通り過ごしていた。
そしてふと時計を見た。
いつの間にか1時を回っていた。

「どうするんだよ? これから。もう1時過ぎたよ。」
「とりあえず、しばらくは俺が春原、お前が岡崎で生活していこう。」
「そうだね、あわてても何も変わらないしね。」
「というわけでお前さっさと出てけよ。」
「ここは僕の部屋なんですけど。あんたが出てくほうでしょ。」
「お前な、俺が家に帰ったら不味いだろ?」
「あ、そっか。今僕が岡崎の格好してるからね。」
「そういうことだ。後のことは明日学校で考えよう。」
「分かったよ、岡崎。」
「おお、あと、俺ら以外がいるときはお前が岡崎だからな。」
「大丈夫だって。僕のトレインをなめないでほしいよ。」
「本当に頼むぞ、あとトレインじゃなくてブレインだからな、多分。」
「じゃあな、岡崎。」
「明日は早めに学校にこいよ。」
「分かったぜ、岡崎。」

そう言って外に出てった。

「…分かってるのかよ? 本当に。」

はっきり言って心配だ。
あいつ明日会ったら俺に「よう、岡崎。」とか言いそうだ。
もし、他のやつにこのことが知られたら生きていけない。
あと、大きな心配といえば、俺の命と俺の体だ。
杏とか智代に会ったら即絶命かも知れない。
明日からは静かに生きなければいけない。
そして、春原がいつもどおりの行動をしたら俺の体が傷だらけになってしまう。
俺の体は春原みたいに再生は不可能なんだし。
ああ、明日から激しく不安だ。
どうなんだ? 俺の明日は。










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 TK「長編ものです。」
 朋也「このまま凍結の方向で。」
 TK「いいじゃないですか、別に。」
 朋也「だって、春原になるなんて…
    まだゴッキーのほうがましだな。」
 陽平「酷すぎっす。」
 TK「あ、春原くん行っちゃいましたよ。」
 朋也「気にするな、いつものことだ。」
 TK「何か春原くんはこのような扱いにしたくなるんですよ。」
 朋也「やはりオーラが出てるんだよ、ヘタレオーラが。」
 TK「少しくらいこのSSの話しましょうよ。」
 朋也「これは悪夢だ。とにかく早く終われ。」
 TK「手抜きなんですね、コメントが。」
 朋也「俺に言わせれば
   この後書きらしきもの自体不要だ。」
 TK「そんなこといわないでください。」
 朋也「とにかく、しばらくは続くんだな。」
 TK「そういうことです。」
 朋也「では、意見等あればおねがいしま〜す。」



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