いよいよその日の朝はやって来た。

  「さて、行くとするか。」

  ホントはだるいんだけどな。

  「でも行かないとまたヘタレ扱いだしな…」

  そう思いながら学校へ行く準備をし始めた。











  朋也の春原な日々 第8話











  俺が登校してから少し経って春原が来た。

  「ついにこの日が来たね。」
  「ああそうだな。…お前の命が断たれる日がな。」
  「僕死ぬの決定ですか!?」

  俺は肩をポンと叩いて言った。

  「大丈夫だ、骨は拾ってやるから…但し、パン挟みで。」

  そういって着替えたので先に教室を出て行った。

  「あんた何気に酷いこと言ってますね!?
  って待ってくれよ、おか…春原ー。」




  グラウンドに行くと結構な人数が集まっていた。

  「つーか、何でグラウンドに集まらないといけないんだよ。」
  「さあね、運営委員会に聞いてよ。」

  どうせ集まっても注意事項とか必要の無い校長の話とかだろう。
  たまには違ったパターンはないのかよ。
  例えば生徒への激励のため、生徒会長補助による
  春原もとい岡崎の空中乱舞激励とか…

  「ってそれ僕明らかに蹴り上げられてますよね!?」
  「ちっ、人の心を勝手に読むなよ。」
  「あんた普通にボソボソ言ってましたからね!?」
  「そろそろ整列しろよー。」

  担任の声が聞こえてきた。

  「ほら岡崎、一応並ぶぞ。」

  納得出来てないんですけど、という表情で春原は並んだ。




  開会式みたいなものが終わった。(俺と春原は立ったまま寝てたが)

  「ん、終わったみたいだな。」
  「そうだね。全くこんな開会式は不必要だね。」
  「あんたの存在よりは必要なものよ。」

  そういって現れたのは杏だった。

  「あんなつまらない開会式より僕が不必要なはずないじゃん。」

  おれはうーん、と考えている。

  「え、春原。そこはそうだな、とか言ってくれよ。」
  「お前の方が必要ない気がするが…」
  「そんな事ないでしょ、よく考えてみてよ。」

  懇願する春原。

  「確かにそうかもな…」
  「そうでしょ、やっぱり杏のいうことは間違ってるよ。」

  何故か勝ち誇っているヘタレ。

  「お前がいなかったら杏の辞書攻撃の盾もいなくなるし、
  この学校最大の見世物かつエンターテイナーかつ
  この世の至高のヘタレが居なくなるのは悲しいな。」
  「あんたの僕に対する認識ってそんなに酷かったんですか!?」

  それを聞いた俺と杏は溜息をついた。

  「今更だな。」「今更ね。」
  「あんたら、凄くシロクロしてますね!?」

  俺達はパンダかシマウマかよ。

  「多分それをいうならシンクロな。」
  「そんなヘタレはほっといて…頑張って優勝目指しなさいよ。」
  「ああ、お前もな。」
  「うん。」

  その笑顔にちょっとだけドキッとした。

  「陽平? 顔赤いけど…大丈夫?」
  「あ、ああ…大丈夫だ。」
  「あの〜、僕無視っすか。」
  「「え、居たの?」」
  「あんたら酷すぎっす。僕には応援とかないんですか。」
  「そうだな…グッドフライ!」
  「どんな応援っすか、それって!?」
  「…言葉通りだ。」

  そういって俺はバスケの試合の行う体育館に向かった。




  俺のクラスは結構早くに試合があった。
  試合形式は1クールのみの10分間。
  ちなみにトーナメント方式だから負ければ即終了である。
  ちなみに最初の相手は3−Eだった。

  「杏のクラスか…」

  まあ、別に杏がいるわけじゃあないからいいんだがな。
  ふとそのうちの二人がこっちに来て

  「最初は3−Dか…
  ん? 何でお前がいるんだ?」
  「確かに…お前バスケなんかできるのかよ?」

  そういって俺を見た。
  ま、確かに元サッカー部の春原が
  サッカーじゃなくてバスケに居たら驚きだろう。

  「岡崎はサッカーに出てるし…
  何か企んでるんじゃないのか?」
  「え、そうなんだ。」
  「別に企んではいねえよ。」
  「まあ、お前らには負けねえよ。
  そして委員長の…」
  「ん? 委員長って杏のことか?
  杏がどうかしたのか?」

  そう聞くと

  「なな何でも無いですよ。」
  「とにかく負けないからな。」

  そういって向こうに行ってしまった。

  「委員長ってのは多分杏のことだろうな。
  それにしても委員長の…の後が気になるな。」

  まあ、人のことはどうでもいいか。
  そういや、春原って名前で呼ばれてないな。
  有名なのに名前の認知度は低いようだ。
  おっと、もうすぐ試合の始まりだ。




  ピィーーーッ
  試合が始まった。
  ちなみに俺はジャンパーではない。
  春原の背はそんなに高くは無いからな。
  ジャンプボールは3−Eに取られた。
  3人がパスをまわしながら攻めていく。
  うちのメンバーは反応しきれていない。
  そのまま攻めてシュート…


  とはいかなかった。
  すかさず俺がその前にスティールしてボールを奪っていった。

  「何、金髪のくせに!」
  「くそ、金髪のくせに!」

  相手側がそう叫んだ。
  …気持ちは分かるぞ。
  でも、一応名前くらい覚えような。
  そう思いながら、ドリブルでゴールに向かっていく。

  「そう簡単に通してたまるか。」

  前に攻めてなかったディフェンスが二人いた。

  「悪いな。」

  だが、おれはあっさりその二人を抜いた。

  「マジかよ!?」

  そのうちの一人の反応があいつを思い出した。
  そしてゴール近くまで来た。相手は誰もいない。
  後ろから来ているが、気にしない。
  一気にゴール下に行きレイアップシュート。


  パスッ


  見事に決まった。

  「……」
  「……」

  相手どころか味方も唖然とした顔。
  そりゃそうだろ。
  春原があんな華麗にドリブルで相手を抜きさり、
  シュートを決まるのだから。

  「…春原だっけ? お前凄いじゃん。」

  チームメイトの一人が話しかけてきた。
  多分春原の名前に自信なかったのだろう。
  疑問系で祝福してくれた。

  「まあ、こんなもんだ。」

  ちなみに本気は出していないぞ。

  「これならいけるぞ。勝てるぞ。」



  3−E側…
  「おい、あいつってバスケ出来たっけ?

  しかもあんなに上手かったか?」
  「しらねぇよ、初耳だよ。」
  「つーかあれはバスケ部と同等の実力じゃないか。
  あれには勝てねえよ。」
  「このままでは委員長の…」
  「ああ…」

  全員顔が真っ青だった。




  その後も俺の独壇場だった。
  クラスメイトも俺を中心にパスをまわしてくれた。
  そして、俺が確実に決める。
  相手も俺中心に守ったが、全員抜き去ってやった。
  もう後半は完全にワンサイドゲームだった。
  そして…


  ピピーーーーッ!!


  「やったぜ、勝ったぜ。」
  「正直勝てるとは思わなかったぜ。」
  「これもハルハラのお陰だな。」
  「そうだな…スゲーなハルハラ。」

  何か名前違うが…まあ、気にしないでおこう。
  ちなみにスコアは24−6と圧勝だった。
  そのうち16点は俺が入れたものだ。

  「んなたいした事してないって。」
  「お前謙遜し過ぎだって。」
  「それ以上いうといやみに聞こえるぞ。」
  「そうだな、でも今回はたまたまだぞ。」
  「何行ってるんだよ、これなら優勝も狙えるぞ。」
  「それはさすがに無理だろ…」

  まあ、私的理由で狙うつもりではあるが・・・
  この調子で勝ち続けていきたいな。



  「終わった…」
  「ああ…」
  「これで委員長の特技『ディクショナリーショット』食らうんだよな…」
  「いや、一回戦敗退だぞ。勝つしかない、むしろ勝てって言ってたから、
  そこからの連携で『ディクショナリーマシンガン』だよ。」
  「「「……嫌だーーーーっ!!」」」




  さて、今からどうするかな…
  試合もしばらくないしな。
  その辺りでもふらふらするか…
  あ、そういえばちょっとしたら春原が試合だったな。
  誰も応援が居なかったら寂しいだろう。
  仕方ないから見に行ってやるか…



  「キャーー♪カッコイーー。」
  「うわ、何だあいつ…凄いぞ。
  人間業じゃないぞ。」



  「何か向こう側が騒がしいな…」

  ちょっと興味があるな。
  春原の試合よりはよっぽど面白そうじゃん。
  暇だし行ってみるか。











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 朋也「ようやく試合になったな。」
 TK「正直つらいものです。」
 朋也「何がだ?」
 TK「私の貧相な知識で試合のシーンをやるのは厳しいものです。」
 朋也「春原並なのか?」
 TK「…まことに悲しいですが、否定は出来ません。」
 朋也「ご愁傷さまだな。」
 TK「皆様に満足してもらえるか不安です。」
 朋也「だから試合のシーンが端折りなんだな。」
 TK「そうなんです。
   野球なら何とか分かるんですが…」
 朋也「……ほう。」
 TK「パワプロ知識で。」
 朋也「ゲームかよ!?」
 TK「次回以降も大変です。」
 朋也「……グッドエッチ!!」
 TK「ここで使う言葉じゃないですね!?」
 朋也「では次回まで…」




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