寮の春原の部屋に行ってみるとまだ芽衣ちゃんは居なかった。
「っていうか考えたら集合時間決めて無いじゃん。」
今更ながらのミスに気づいた。
ちなみにこの部屋の主、春原もいない。
ひょっとすると遅刻したのか? っていうか時間知らんから。
どこに行ったか知らないが、春原でも待ってるか。
すぐに春原が戻ってきた。
「もう戻って来たのか、今からこの部屋に杏と智代を呼んで
ファイトでもやらせようとしたのに。」
「冗談でもやめてくださいね、そういうことは。僕が被害にあいますから。
ところで岡崎もう来たの。」
「ああ、つーか時間も決まってないじゃん。」
「芽衣なら昼過ぎに来るって。」
「何、そうなのか。」
まだ11時過ぎじゃんもう少し遅く来ればよかった。
一時に来るとしても、まだ二時間近く待たないといけない。
しかし、家に戻るのもメンドイな。それなら選択肢は一つしかない。
「仕方ない、春原の部屋で雑誌でも読みながら待つとするか。
という訳で春原、お茶持ってきてくれ。」
「何で僕がそんなことをしなくちゃいけないんですか!?」
「俺客だし。」
「そんな我が侭な客にお茶は出しませんから!」
「お茶持ってきてください、ヘタレ様。」
「普通にヘタレとか言ってますよね、あんた。」
「まあ、気にするな。んでお茶はいつ来るの?」
「一生来ませんからね!!」
そんないつも通りの会話をしていてしばらくして芽衣ちゃんがやって来た。
「岡崎さん、ごめんなさい。本当はもっと早く来るつもりだったんですけど…」
息を多少切らしながら申し訳なさそうに言った。
「いいよ、気にしなくても。それに時間もちゃんと決めてなかったし…
だから芽衣ちゃんは気にしなくていいよ。」
今の時間が…12時半なのでむしろ予想より早いくらいだ。
「でも、おにいちゃんに『私行くの1時くらいになりそうだから』
って言っといたのに…やっぱり岡崎さんにも言っておけばよかったです。」
「ほうほう、このヘタレは知ってたのか。
どうして俺には教えてくれなかったのかな、春原くん?」
「え? だって知ってすぐに岡崎来たじゃん。
だから教える事も出来なかったんだよ。」
そういった春原だったが、
「え〜、私がおにいちゃんに教えたの10時前だったけど。
岡崎さん、そんなに早く来たんですか?」
「俺が来たのは11時過ぎだったぞ。」
つまり俺が家を出る前に知っていたということだ。
「じゃあ、やっぱり岡崎さんに伝えとけばよかった。
ごめんなさい本当に、不出来な兄で。」
「本当に気にしなくていいよ、芽衣ちゃん。
春原なんか当てにしたのが最大のミスという事にしとくよ。
そんなことよりさっさと商店街に行こうぜ。」
「はい、そうですね。」
「一応聞いときますが、やっぱり僕も行くんですか。」
「そうだぞ。」「そうです。」
俺と芽衣ちゃんの声が被った。
「はぁ〜、分かりましたよ、行きますよ。」
「ちなみに今日は全部春原のおごりだからな。」
「マジっすか!?」
「本当!?おにいちゃん。やったーーー!」
万歳する芽衣ちゃん。
「ってそんなこと一言も言ってませんから!」
「まあ、おにいちゃんにそんなこと期待してなかったけど…
でも、岡崎さんは奢ってくれますよね。」
上目遣いで言った。だが無理なものは無理だ。
「うっ…残念だが私はしがない学生でしてそのようなお金は…」
「分かってますよ、私も奢ってもらおうとは思ってないですから。」
「じゃあ、そろそろ行くか、まだ飯食ってなくて腹が空いてるんだよ。」
「私もまだ食べてなかったんですよ。じゃあ、早く行きましょう。
ほら、おにいちゃんも早く。」
「分かってるって、そんなに急がせるなよ。」
昼飯はファーストフードで食べる事にした。
芽衣ちゃんがそうしたいと言ったためだ。
「私の実家にはファーストフードも無いんですよ。
だからここに来たら食べたかったんですよ。」
といいながらハンバーガーを食べている。
「凄い田舎なんだよ、芽衣ちゃんの実家は。」
「ちなみに僕の実家でもあるんですけどね。」
「お前の実家って異次元にあるんじゃないのか。」
「僕の実家は芽衣と同じに決まってるじゃないですか!?」
「何! そうだったのか…世の中にはまだまだ知らない事が多いんだな。」
「もう岡崎さん、冗談は止してください。」
「え、冗談じゃないんだけど。」
「岡崎、あんた酷すぎッスね!?」
「は、はは…」
食事をした後はゲームセンターに行った。
「商店街に行くつもりだったから、今日は
てっきり買い物かウインドウショッピングでもするのかと思ってたぞ。」
「たまたま最初に入りたくなったのがゲームセンターだっかので
ここに入っただけですよ。ショッピングもしたいですが
今はゲームセンターで遊びたいです。」
ということで決定した。
最初にやったのはゲーセン定番の格闘ゲームだ。
「あ〜〜〜、また負けてしまいました。」
ほとんど初心者の芽衣ちゃんは負けっぱなしだった。
「どうだ芽衣、兄の力を思い知ったか。」
勝ち誇る芽衣ちゃんの愚兄、春原陽平。
つーかよく行く人と全く行かない人では当たり前だ。
しかし、ここからが芽衣ちゃんの真骨頂だった。
芽衣ちゃんはどうやらこういうゲームに向いてるらしく
ドンドン上達していった。俺もビックリした。
しばらくすると芽衣ちゃんは俺に勝ってるし。
「やったーー! 遂に勝ちました。」
「やったな芽衣ちゃん。」
そして、春原にも勝利した。
「うううう……芽衣に負けた。ショックだ。」
そんなにショックなのか、激しく落ち込む春原。
まあ、自分のホームで負けたのだから余計悔しいだろう。
「そういえばおにいちゃん、私がもし勝ったら
何か奢ってもらえる約束だっだよね。」
「そんな事言ったっけ?」
「言ってましたよ。ねえ、岡崎さん。」
「え? ああ、言っってた気がするな。」
「ほら〜言ってたんだよ。でもおにいちゃん
そんなにお金持って無いでしょ。だからアイスでいいよ。」
「ううう…分かりましたよ。」
「その前にショッピングでもしましょう。」
その後、商店街をまわってショッピングなどを楽しんだ。
まあ、とはいってもほとんどウインドウショッピングだった
その後、春原のおごりでアイスを食べる事にした。
芽衣ちゃんの分も買いに行くついでに俺のも買いに行ってもらったって
俺のお金は後払いという事にしといた。
だが、後払いというのはいつになるか知らないが。
という訳で俺のも実質春原のおごりである。
「ところで芽衣ちゃん、春原とあんな約束したっけ?」
「奢ることですか? もちろんそんな約束してませんよ。
あのときの咄嗟の思い付きですよ。」
怖い子だな。この辺はある意味春原の血を引いてるような気がする。
まあ、それに騙される春原も悪いが。
「岡崎さん、突然なんですが明日用事はありますか?」
唐突にそう聞いてきた。
「ん? いや別に無いが…」
「そうですか…」
そう言って黙ってしまった。
「何でそんなこと聞いたんだ。」
そう聞いてみた。
「岡崎さん。」
「な…何だい、芽衣ちゃん?」
芽衣ちゃんの真剣な表情にちょっと押されてしまった。
「唐突ですが、明日10時頃に来てくれませんか。」
「別にいいが…」
「あと、おにいちゃんは連れてこなくていいですから。
これはデートみたいなもんですから。」
「ああ、分かった…ってデート!?」
そういうと同時に春原がやってきた。
「どうしたんだ、岡崎。何かあったのか。」
「いや別に…」
夕方になったため、ここで分かれる事となった。
「じゃあここで解散でいいっすよね。」
「ああ…」
「それでは、おにいちゃん、岡崎さん。」
そういって芽衣ちゃんは行ってしまった。
そういえば何で俺だけなんだよ。
「何ボーっとしてるんだ岡崎。帰らないのか。」
「ん? ああ、帰るぞ。」
そういって俺と春原も帰っていった。
まあ、明日になれば分かるか。
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