「春原、遅いぞ。もうすぐ試合始まるぞ。」
  「スマン、ちょっと色々あってな。」

  俺は午後の試合は最初からだった。
  あの後急いで体育館に来た。
  何とかギリギリに間に合ったみたいだ。

  「次は何処だ? 3年か、それとも下級生か?」
  「2年A組だよ。」

  答えたのは樫本だった。

  「で、どうなんだ?」
  「まあ、そう凄く強いわけではないと思うぞ。
  俺達ならそう苦労なく勝てると思うぞ。」
  「そうか…」
  「で、その理由は何なんだ?」
  「・・・特に無いぞ。
  あえていえば、俺の勘という奴だな。」

  そういいながらセンターに向かっていった。

  「はあっ、勘ね・・・」

  そういいながら俺も向かっていった。
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  朋也の春原な日々  第14話
  
  
  
  
  
  





  ピピーーッ!!

  結局その試合は何事も無く26−15というスコアで終った。

  「本当に何事も無く終ったな…」

  特にたいした苦労も波乱も無く終った。
  まあ、こんな試合もたまにはいい。

  「こんな感じで決勝もいってくれたら楽なのにな…」
  「そんな事いうな。」

  樫本が話してきた。

  「あと一勝で優勝なんだぞ。」

  確かに次が決勝だから勝てば優勝だな。

  「そうだな。
  で、このあとの日程はどうなっているんだ?」
  「今から3−Aと2−Aが試合をやることになるから…
  その勝者と俺達が決勝で戦うことになる。」
  「んで、どっちと戦いそうになるんだ?」
  「う〜ん。恐らくは3−Aになるだろうな。」
  「そうか…」

  まあ、どっちだとしてもあんまり変わらない気がするがな。

  「試合までどのくらい時間あるんだ?」
  「1時間くらいはあるんじゃないか?」
  「んじゃ、俺はちょっと外に出て木の日陰で寝てるわ。」
  「間違っても遅刻するなよ。」
  「時間近くなったら探してくれ。」
  「それは遅刻するという予告のような気もするが…
  まあ、分かった。時間近くなったら探してやるよ。」
  「オッケー、助かる。」

  さっさと寝れるところ探して一眠りするか。

  
  
  「お、ここで寝るとするか。」

  ちょうど木の下の日陰があいていた。
  ここなら寝やすいし、樫本も発見してくれるだろう。

  (しばらく寝るとするか。
  昼休みも慌しかったからな、あんまり休めなかったし・・・)

  そう思い、寝転がった。
  すぐに睡魔が襲ってきて眠りについた。
  
  

  
  「ん〜、ふわあぁぁぁ〜。」

  しばらくして目覚めた。

  (一体どのくらい時間経ってるんだ?)

  幸運にも時計が見えた。
  まだ30分くらいしか経ってなかった。
  これならまだ試合は始まらないな。
  さすがに今から寝たら確実に起きないだろうな。
  しかし、もう少し時間があるみたいだしな…

  (どうやって時間を潰すとするかな。)

  そこにどこかで見たことある人物がこっちにやってきた。
  名前は覚えてないが、確かサッカーの試合にいたな・・・

  「なあ春原、岡崎の奴知らないか?」

  唐突に聞いてきた。

  「ん〜、いや知らないが・・・どうかしたのか?」
  「いや、試合が始まる時間になっても来ねえんだよ。
  一体どこに行ったんだよ、全く。」

  ふ〜ん、あいついったい何処に行ったんだろうな。

  「それで、試合はどうなったんだ?」
  「ああ、さすがにあいつ抜きで勝つことは出来ないって。
  もう完全に負けたよ、完敗だね。」
  「それは残念だったな。」
  「まあ、今更言ってもしょうがないがな。
  お前らはまだ勝ってるらしいな・・・まあ、頑張れよ。」
  「ま、そこそこ頑張るよ。」
  「そこそこかよ・・・」

  そういいながらそいつは何処かに行った。
  ったく、春原ホントに何処行ったんだろうな。
  俺が知るわけ・・・
  あ、もしかすると・・・まだ死んだまま?
  いや、でもあいつの再生能力からすれば
  もう復活しててもいいんじゃないか?
  ということは違うな。
  あ、そういえば・・・
  


  
  昼休み終了直前・・・

  「ことみ、俺達も急ぐぞ。」
  「分かったの。」

  杏と智代は弁当を置いてくるため先に行った。
  俺達も急いで行かないとな。

  「ちょっと待つの。」
  「ん、どうしたことみ。」
  「屋上の鍵をしてないの。」
  「ん、別にいいと思うが? そんなのちゃんと閉める奴いないぞ。」

  そもそも使う奴もそういないだろう。

  「駄目なの。ちょんと閉めないと。」

  ガチャッ

  「んじゃさっさと行くぞ」
  「分かったの。」

  タッタッタッ・・・
  


  
  「・・・・・・」

  まあ、春原・・・お前のことは忘れないぞ。
  ・・・今だけな。
  おっともうすぐ時間だな、行くとするか・・・
  
  

  
  体育館に行くとほんの少しだけ早く着いた。

  「ん、春原ちょうどいいタイミングで来たな。
  今からお前を探そうとしてたところだったんだぞ。」
  「何だ、もう少し寝てればよかったよ。」
  「試合直前まで寝られても困るからな。
  正直助かったぜ。」
  「んで、話変わるが、決勝はどっちなんだ?」
  「ホントにいきなり大変わりだな…
  相手は3−Aになったぞ。」
  「そうか…んでどうなんだ? 正直3−Aの実力は・・・」
  「そんなに凄いとは思わないんだがな・・・
  正直悪いが決勝にいることが疑問なくらいだ。」
  「ん、お前にしてははっきりしないな。」
  「ん、まあそうだな・・・そんな感じだ。」
  「はっきり言ってよく分からないんだが・・・」
  「まあ、戦って見ないと分からんということだ。
  もうすぐ試合が始まるぞ。」
  「そうだな、百聞は一見に如かずと言うしな。」



  
  そして運命の決勝戦は始まった。

  
  ジャンプボールは俺のクラスが取った。ちなみに初めてだ。

  「春原、パスだ。」

  俺はパスを受け取り敵陣に切り込んでいった。
  見た感じ、そんなに凄い奴は見当たらなかった。
  全員運動神経は結構いい奴ばかりだが、バスケ経験者はいないみたいだ。
  敵を抜きさりシュートを放った。
  あっさり先制点を戴いた。

  「・・・・・・」

  やけにあっさり決まったな。

  「だろ?」
  「ああ、お前の言ったとおりだな。正直強さは感じないな。」
  「でも、勝ってるんだ。」
  「正直、今までの相手のほうが強かった気がするが・・・」

  正直負ける気がしないんだよな。

  「まあ、このまま一気に行くか。」
  


  
  「・・・何故なんだ?」

  今のスコアは8−10。
  何故か差がつかない。というか負けている。
  それは何故かと言うと・・・
  俺の攻撃が完全に読まれているからだ。
  ドリブルやパスのコースが。
  こいつら全員ニュータイプか!?

  「どうやらお前の動きは読まれているようだね。」

  樫本は近づいていってきた。

  「そうなんだよな…何でか分からないし。」
  「俺の推論では3−Aには卓越した情報分析者がいると見ている。」

  樫本がメガネをずり上げながら言った。
  ってお前メガネかけてたっけ?

  「あのな〜、んな人の行動を読めるくらいの
  分析をできる奴がいてたまるか・・・」

  って俺の頭の中に一人の女子生徒が浮かんだ。

  (もしかして・・・)

  確かにあいつなら不可能ではない。
  しかも都合よく試合に出ていない。
  となるとどうすれば勝てるのだろうか?

  「どうしたんだ春原?」
  「いや・・・な、その卓越した情報分析者の心当たりがあってな・・・」
  「それは誰なんだい?」
  「ああ、恐らくはこ・・・一ノ瀬ことみだろう。」

  ちょっとことみと知り合いとコイツに知られるのが嫌だったので
  フルネームで言っておいた。
  その名前を聞いた瞬間、

  「なるほど、彼女なら出来うるかも知れないな。
  何せこの俺にいつも苦渋を舐めさせている人物だからな。ふふふ・・・」

  笑みがこぼれていた。
  ただし、不気味なだったが。
  そういや、こいつ頭いいらしいからな。
  いつも学年トップクラスらしいし・・・
  どうやら万年二位らしい。

  「そうか・・・つまりここは彼女と僕の知恵比べというわけだな。
  こんなところでも彼女と戦えるとは思っていなかったぞ。」

  俺も思わなかったし、ことみもそう思ってないぞ。

  「まあ、春原くんの動きが読まれていることだし・・・
  ここは俺が頑張るとしよう。」
  「で、何か対策でもあるのかよ?」
  「まあ、もう決勝だしな・・・本気で行こうかな。」
  「・・・・・・そうか、頑張ってくれよ。」
  「ああ、君も俺の勇姿を見ていてくれよ。」
  


  
  今度はこっちからのボールだった。
  俺は引き付けるだけでパスとかは受けないようにした。
  ゴール近くまで来た。
  そして、樫本がパスを受けた。
  体勢を低くして突っ込む体勢に・・・
  相手もそれに反応する。

  ダンッ、ダンッ

  しかし、樫本は前に出る振りをして後ろに下がった。
  そして、

  フォン!

  素早く3Pシュートを放った。
  しかも見事に決まった。
  樫本を見ると、ニンマリの笑顔だった。

  「なるほどな・・・」

  確かに今まで打ったこと無いからな。
  データには無いはず・・・
  これで相手との差は一点になった。
  俺もそういうことすればいいんだな。
  これならいけるかもな。

  (ってどんな事すればいいんだ?)

  しまった、浮かばないぞ。
  そんなものいきなり浮かぶはずねえよ。
  こうなったら・・・
  


  
  「うりゃあああ―――っ!!」

  俺が選んだのは杏張りの遠投だ。
  敵味方双方とも唖然だった。というか何で俺こんな選択したんだ?
  まあ、意外性ということではある意味成功だ。
  でも、そんなの入るはず無かった。
  あんなもんが決めれてたまるか!
  ま、そんなんで入るんなら苦労してないよ。

  「ホッと。」

  しかし、樫本が俺の外れたシュート(?)をすばやくとりシュートしていく。
  コイツ俺の行動読んでたのか? 怖すぎだ。

  

  この一本のシュート(?)を見た相手は明らかに動揺していた。
  こんなアホなことをしたからな。
  俺のドリブルを止めれなくなっていた。
  どこかしらに俺がまだ投げるとでも思っているのだろう。
  そして、俺が構える。
  相手は硬直している。
  そして投げた!
  が、
  それは樫本に向かって投げたものだった。

  バシッ

  「春原、バスケットボールを人に向かってそんな風に投げるな!」

  といいつつちゃんとキャッチしてるお前は凄いよ。
  そしてすぐにフリーの状態で3Pシュートを放つ。
  見事に決めてこれで逆転して2点差になった。
  しかし、相手も簡単には負けてはくれない。
  すかさず、シュートを決めて、同点になった。

  
  もう、そんなに時間は無いはずだ。
  チラッと見るとあと1分くらいか・・・
  一本決めれば勝てるが、外せば負けるというところか。
  慎重にかつ大胆に攻めたいな。
  ここは俺が何とか相手をひきつけて樫本に打たせるのが一番だな。
  そう考え、俺は積極的にゴールに近づく振りをした。
  そして、隙が出来た。

  「樫本パスだ。」

  樫本がパスを受ける。
  ボールを構えて、飛ぶ。そして、
  
  フォンッ
  
  シュートを放った。ボールはドンドンゴールに近づく。しかし、
  
  ガゴンッ
  
  何と外れた。ここまで外したことなんか無かったのにな。
  相手がそれをリバウンドをした。

  「パスだ――!」

  そして、一気に前線に振りかぶり投げた。しかし、
  
  バシッ!
  
  それを樫本がキャッチした。
  そして、再びシュート体勢に入った。
  それを防ぐために向かっていく。
  樫本がシュートを放つため、飛んだ。
  相手もそれを阻止するために飛んだ。そこで、
  
  「パスだ、春原。」
  
  俺の手に樫本からのパスが来た。
  俺はフリーだった。

  「樫本、サンキューな。」

  そういって俺はシュートを放った。
  俺が放ったシュートはゆっくりと空中に舞い上がった。
  
  パスッ
  
  シュートは決まった。
  これで2点差になった。

  「ナイスだな春原。」
  「サンキュー。」
  「もう時間は無いからな、油断せずに行けば勝てるぞ。」
  「ああ。」

  相手もせめて同点にしようと必死だろうからな。
  最後まで気は抜かないようにいかないとな。
  相手がボールをとり、攻めて来る。
  だが、まもなく審判は笛を鳴らそうとしていた。
  その瞬間、
  相手のボールを持っていた奴が
  最後の悪あがき、超ロングシュートを放った。
  それがグングンゴールに向かっていく。

  (まさか入るんじゃないだろうな・・・)
  
  ガゴンッ!
  
  何とか入らなかったが、ボールは真上に上がったためまだ分からない。
  ガゴンッ、ゴロゴロ…
  リング上を回っている。
  入るか!? 入らないか!? どっちだ!?
  
  ゴロゴロ・・・スッ
  
  ボールはリングの外に落ちていった。
  
  
  ピィ――――ッ!
  
  
  その笛が鳴った瞬間、俺達の優勝が決まった。











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 TK「はあっ、はあっ・・・」
 杏「どうしたのよ?」
 TK「いや〜、更新も大変だなー(ゴスッ!)っていきなりなんなんすか!?」
 杏「一ヶ月更新しなかったんだから当然の報いよ。」
 TK「・・・・返す言葉もありません。」
 杏「しかも何よこの話、強引だし・・
  何といっても私が出て無いじゃん!」
 TK「ああ、そうですね・・・」
 杏「私はどうなったのよ!?」
 TK「それはちゃんと書きますよ。
   ただし、15話ではないですよ。」
 杏「・・・・・どういうことよ。」
 TK「簡単に言えば、14.5話ってことですよ。」
 杏「一応書くのね。」
 TK「そうです、15話の前には書きますよ。」
 杏「ふ〜〜ん。」
 TK「ひょっとすると15話になるかもねw」
 杏「優柔不断ね。
  そんなことより今度は早く更新するのよ。」
 TK「はい・・」
 杏「もしも出来なかったら・・・(スチャッ)」
 TK「頑張らせていただきます!」
感想、誤字等については拍手、メール、もしくは掲示板に…



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