「やっと終わったぜ〜」
「ホントだね、あの校長の話は長かったね」

今日は一学期の終業式。
しかし何でこんな暑い中、長時間どうでもいい式を行わないといけないんだよ…
まあともかく、何事もなく夏休みが迎えられそうである。

「それにしても波乱づくめの一学期だったな・・・」
「そうだね」
「そんな一学期も後は成績票だけ貰えば、おさらばだぞ!」
「そうだね・・・」
「そして、お前の命もあと少しか・・・
これでお前と会うのは最後になるのか」
「そう・・・っていつから僕の余命がそんなに短くなったんですかね!?
あと、しみじみ言わないでくださいよね!」
「もちろん冗談だからな・・・
お前がそんな簡単に死ぬはずないじゃん」
「ああ、そうですね!」
「・・・何で褒めてやったのにそんなに怒ってるんだ?」
「あんた明らかに褒めてないですよね!?」

…ばれましたか。











  朋也の春原な日々 第18話











春原とのいつもどおりのコントをしながら、

(僕との会話はコントだったんですね!?)

…教室に戻った後、担任から成績表を受け取った。
(ヘタレの遠吠えはあえてスルーの方向で)
いつもなら10段階で1じゃなければ万歳!という平均アベレージ2。
簡潔に言えば、補習さえ免れて夏休みを満喫できればOK、
という成績なのだが…

「俺の成績表のくせに2が少ないな・・・」

正確には半分、春原の成績なんだが…
それでも、3があること自体、奇跡に近いからな。
いつもは赤点回避のみにつとめているからな。
期末のあの奇跡が効いたみたいだな。
あとは最近、まともに授業の出ていることも一因だろうか。

(そういえば、俺より先に受け取った春原はどうだったんだろうな・・・)

まあ隣にいるんだがな。すっかり忘れてたぜ。
周りでも、他人の成績を見て一喜一憂しているようだ。

「で、ゴッキーはどうだった?」
「・・・・・・」
「・・・ああ、悪かったな
今の呼び方だとゴキブリに失礼だな・・・
俺としたことが、完全に失言だった
ゴキブリにきちんと謝罪しないとな」
「あんた僕にどんな恨みがあるんですかね!?」
「特には無いと思いたいが・・・」
「確実に無いと思うんですけどね!?」

ひとつあるとすれば、俺をこんな姿にしやがったことだな。

「ああ、悪かった悪かった
んで、お前の成績はどうだったんだ?」

すぐさま春原の通知表を掠め取った。

「どれどれ・・・・・・」
「あれ、どうしたの春原? そんなに固まって?」

春原は完全に俺を春原と呼ぶことに慣れたらしいな…じゃなかった!

「・・・岡崎、駄目じゃないか〜
勝手に通知表の数字変えたりしたら」
「え、してないっすよ?」
「じゃあこれがお前の成績だというのか!?」

何故、こいつの成績表に""という数字が神々しく輝いていた。
これが学校、いや世界七不思議というやつか!
俺は歴史が動く瞬間を目撃したとでもいうのか!
ってそういえばそうだったな。

「前回の試験はお前、結果良かったしな」
「・・・・・・」
「それも全部、杏による合宿in藤林家のおかげだな」
「・・・・・・・・・」
「で、杏の特訓ってどんなんだったんだ?」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・?おい、岡崎?」
「・・・・・・き・・・」
「き?」
「キエエエエエエエェェェェェェェェ!!!!!!」

春原は座ったまま雄たけびをあげ、そして白目になりながら気絶した。
あれからそこそこ経ったが、
今になってもあのトラウマは残っているみたいだな。
俺はそれがどんなものか体験したわけではないのでよく知らない。
…もっとも、知りたくも無いがな。
ほんのちょびっとだけ気の毒に思うことにしよう。
……コンマ数秒くらい。




放課後、

「さて、今からどうするか・・・」

せっかくこの後は長い長い夏休み、
片手団扇で優雅な生活をエンジョイしてもいいのだが、
さすがに一ヶ月以上あの部屋に居続けてしまったら春原病になってしまう。
それはさすがにまずい。
何か予定を考えなくては…
って俺の優雅な生活は春原の部屋でごろごろすることと
考えてしまった自分が悲しくなってくるな…

グゥ〜〜…

(・・・・・・とりあえず、長期的なことより
この空腹を何とかするという目先のことを優先するか・・・)

そんなことを考えながら教室から出ると、

「朋也〜、終わったの?」
「終わったのか?朋也」
「終わったから外に出たんだよ」

ここに張り込んでいるのでは?
と思うほど最近いつも俺のクラスの廊下にいる2人に遭遇した。
お前ら、自分のクラスのホームルームにちゃんと出てるのか、
生徒会長さんとクラス委員長さん。
いや、ちゃんと出てるとは思うんですけどね。

「それでこれから暇?」
「そうだな・・・まあ寮に帰ってゴロゴロする?」

まあ、その前に何か食うがな。

「暇なんだな、だったらこれから遊びに行かないか?」
「・・・誰が?」
「お前と私と杏と・・・そこのコソコソ帰ろうとするやつとでだ」

俺たちとは反対側のドアから出て行こうとする春原がいた。
何かに勘付いたのか、ダッシュで逃げようとしたが、
杏の辞書の餌食となりあっさり連行されてきた。
逃げるというのはイコール死にに行くようなものだからな。

「んで昼飯はどうするんだ?」
「せっかくだから外で食べましょう」
「それには私も賛成だ」
「どうせ寮に帰ってもインスタントだからな・・・
そうするとするか・・・そこで伸びてるやつも行くぞ」
「もう少し、優しくしてもらえると嬉しいんですが・・・」
「これでも十分優しくしているぞ」
「これでですか!?」
「人間扱いされてるだけマシだと思え」
「ひどい扱いでそぶほっ!?」
「さっさと行くわよ」

気絶した春原を引きずりながら杏が前に進んでいった。
俺と智代もそれに続いていった。



校舎から出て、俺たちは商店街に向かっていった。

「そういえば智代、今日は生徒会の仕事とかは無かったのか?」
「ああ、それなら大丈夫だ・・・」



 〜in 生徒会室〜

「「・・・・・・」」
「おい、坂上は何処に行ったんだ!」
「ふふふ副会長、こんな置手紙が・・・」

『ほわんじつはやるたことがあたるのでせいたとかいのわしごとはちゅわうしにする
坂上、それとわたぬき』

「・・・・・・意味が分からん!」
「多分、何かの暗号です」
「そんなわけの分からん暗号解読する暇があるなら、
さっさと坂上を探したほうが早い!
というわけでさっさと探すぞ!」




「・・・・・・というわけだ」

それでいいのか、坂上会長。
そんな俺の考えを察知したのか、

「息抜きもたまには必要だからな」
「そうなんだが・・・」

俺には最近息抜きが異様に多い気がするのは気のせいか?
ま、智代がそういってるなら俺に反論することなんて出来ないんだけどな。
多分、影で頑張っているのだろう。

「そういえば、外で食べるってどこで食べるの?」

春原がもっともらしい意見を言った。

「そうね・・・あそこでどう?」

杏が指差した先にはよくあるファーストフード店だった。

「まあ、無難な選択だな」

金もそんなに無い俺にとっては問題なしだ。

「それじゃあ入るわよ」

そういって杏のあとを追っていった。




「さて何にしようか・・・」

まあ、無難にセットメニューにしておくか。

「いらっしゃいませ」

店員が挨拶をする。
見た感じ、俺たちと同世代ってところだな。
こんな時間から労働とはご苦労だな。
ふ〜ん、まあ可愛い子だな…
って何か近くから殺気みたいなものが…
後ろのやつが『ひいいいいぃぃぃぃぃ!!』と叫んだ気がした。
明らかにこの店の雰囲気が…

「ご注文はお決まりでしょうか?」

この殺気の中、その笑顔ですか…
この女の子は大物だ。

「じゃ、じゃあこのハンバーガーセットで」

とても無難なものを選んだ。

「ポテトとドリンクのほう、今のMサイズから
それぞれプラス30円でLサイズに、
プラス50円で両方サイズアップできますがどうされますか?」
「それじゃあ、両方サイズアップしておいてください」
「はい、ありがとうございます」

後ろでは、春原がメニューと睨めっこをしている。
せっかくだ、ここは俺が春原を救ってやろうではないか。

「おい岡崎」
「何っすか?」

春原は上のメニューを、まだ見ていた。
どうやらまだ何を食べるか迷っているみたいだ。
多分、自身の財布の財政と相談しているんだろうな。

「突然だが、今日はお前の分だけ特別に奢ってやるよ」
「ふ〜ん・・・それってマジですか、ほんとに突然ッすね!?」
「ああ、あと俺が持ってってやるから、お前何にする?」
「え〜っと、じゃあダブルバーガーで」
「セットじゃなくてもいいのか?」
「・・・あんたどうしたんですか?
いつもならむしろ奢れといってる気がするんですが・・・」
「今日の俺はすこぶる気分がいいからな
だから遠慮なんてするな」
「そうですかぁ、じゃあ遠慮なく・・・」
「オッケー、じゃあ先に行って待ってろ
もう、トラックにジャイロ回転しながら突っ込むくらいの気持ちで」
「さすがに死にますからね!?」

そういいながら春原は歩いていった。
奢ってもらえるからなのか、すこぶる上機嫌だ。
まだ、己の選択のミスに気付いていないみたいだな。

「ねえ、あたしも奢って欲しいな〜」
「そんな声で言うな、きも・・・いや、何でもないです」

後一文字言ったら死んでいただろうな。
俺は杏の背後に見えない辞書が見えた気がした。

「ま、いいけどね」
「んで、何食べたいんだ?」
「え、ほんとに奢ってくれるの?」
「・・・いや、別に無理に奢るつもりはないぞ」
「じゃあ、せっかくだから奢ってもらうわ」

そういって席に向かおうとして、

「・・・ありがとね」

と礼を言って席に向かっていった。
そのあと隣にいた智代に、

「智代、せっかくだしお前の分も奢ってやるぞ?」
「いや、お前もそこまで人に奢ると金銭的に大変だろ
私は遠慮しておくことにする」
「せっかくだから遠慮なく俺に奢ってもらえって」
「いや、だから私は・・・」
「俺が奢りたいと思ってるんだから気にするな」
「む、ではありがたく奢ってもらうことにする」
「オッケー、でなそのかわりに頼みたいことがあるんだが・・・」
「こっちは奢ってもらう立場なんだ
出来ることなら頼まれるぞ」
「さすがに4人分は持っていけないからな、
自分の分と杏の分だけ持ってってくれないか?」
「・・・・・・なんだそんなことか・・・別にいいぞ」
「(・・・何頼まれると思ってたんだ?・・・まあいいか)
んじゃ、今頼むからちょっと待っててくれよ」
「分かった」

そこで俺はふとした疑問を浮かべた。

(そういや〜、杏は何食べたいか聞くの忘れてた
・・・まあ、適当に選んでおくか)




「待たせたな、諸君」
「春原ありがと〜、
今日はあんたが僕の救世主に見えるよ〜」
「ありがとね、陽平」
「すまないな」
「気にするなって、あと俺はお前の救世主にはなった覚えは無いからな」
「謙遜しなくていいっすよ〜、僕のお財布を救ってくれただけで
十分値しますよ〜」

春原は奢ってもらえて上機嫌だ。

「そういえば、あんたよくこんなお金あったわね〜」
「臨時収入があったからな」
「臨時収入?」
「通帳に使途不明のお金が入ってたから」
「・・・・・・」

その言葉に春原の動きが止まった。
先ほどまでの笑顔が一気に引きつってきた。

「ねえその通帳って・・・」
「ああ、春原陽平名義の通帳だが問題あったか?」
「それは使途不明じゃないですからね!?
これからの生活費等のお金に決まってますからね!?」
「気にするなって・・・まだ残ってるし、これから大人しく生活すればいいだけだし」

俺がな。

「というかこれじゃあ僕奢ってもらったというか
奢ってるような立場のような気がするんですけど・・・」
「気のせいじゃないのか?」
「ううう・・・おかしいと思ったんだよ・・・
やっぱり僕はこういう運命にあるんですね」
「よかったわね」
「よかったな」
「全然良くないですからね!?」

いや〜、人間っていいことをすると
何でこんなにおいしく食事が食べれるのだろう?

「人のお金だからですよね!?
しかもいいことなんてひとつもしてないですからね!?」
「まあ、この国のGDPの増加に貢献したと思っておけ」
「そんなことじゃ納得できないですよ!」

この後もやり取りは続いたが、
最後は杏と智代による裁きにより、一件落着した。




しばらくして全員食べ終わったみたいだ。
春原は終始落ち込み気味だった。
何か残念なことでもあったのだろう。

「奢ってくれてありがとね、陽平」
「私からもありがとう、春原」
「気にするなって・・・おい、岡崎も行くぞ」
「はいはいそうですね」

あ〜、春原拗ねちゃったよ〜。
まあ、ほっとけばすぐに立ち直るだろう。

「ねえ、せっかくだからどこかに遊びに行きましょうよ
朋也も陽平もいいでしょ?
もちろん、智代もね」
「俺はいいが・・・」
「私も構わないぞ、朋也はどうするんだ?」
「僕もどっちでもいいですよ」

本当にすぐに立ち直りやがった!?
実は嘘泣きならぬ、嘘拗ねじゃないのか。
…まあ、こいつだしな。

「じゃあありがちだが、ゲーセンでいいか?」
「ゲーセンか・・・なかなか行く機会が無いから私はそれでいいぞ」
「智代がいいなら私もそれでいいわよ」

智代と杏は賛成みたいだ。

「んじゃそうするか」
「あの〜、僕の意見は聞かないのですか?」
「別に聞く必要ないだろ? お前も文句無いだろ?」
「そうなんですけど・・・一応聞いてくださいよ」
「分かった、次回からは極力気が向いたら聞くよう努力することを多少考慮しよう」
「ものすごい遠まわし・・・もうそれでいいです」

何かを諦めたのか、反論は無かった。
う〜ん、残念だ…これでは弄れないではないか。

「時間ももったいないし、さっさと行くことにするか」

というわけで俺たち4人はゲーセンへと向かっていった。












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 TK「いや〜、ひさびさのk」
 どぐしっ!
 智代「あまりに遅すぎるではないか!
   二ヶ月弱の放置ではないか!」
 TK「や、ホント申し訳ないと思っていますよ_| ̄|○」
 智代「その言い訳は何なんだ?」
 TK「言い訳なんて酷いっす!
   ひとつはPC御臨終事件です」
 智代「それは9月後半の話だがな」
 TK「・・・・(汗)あ、あとは・・・単に私のモチベーションが上がらn」
 どどどどどどぐしっ!
 智代「それはやる気が無いというんだ!」
 TK「一気に叩き込むのはどうかと・゚・(ノД`)・゚・」
 智代「次回の更新はいつなんだ!?」
 TK「・・・・・・今年中???」
 智代「・・・やはり死をもって詫びろ!」
 TK「すすすすいませんんんん!!!」
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