前書き。
第五話は最後辺りで、貴明視線から、このみ視線に変わります。
そこら辺の注意を宜しくお願い致します。
では、本編を開始いたします。







姫百合姉妹の新しい日常 第5話













珊瑚ちゃんがホラー弁当を作って、その翌日(土曜日)
暇なので勉強をしていると、電話が鳴り響く。

「はい、河野です」
「あっ、タカくん?」

電話をしてきたのは、このみのおばさんだった。

「春夏さん?」

ちなみに、春夏さんに対しておばさんって言うと、すごく怒る。
それは昔から変わっていない。
というか、もしそんな事を言ったら……考えたくないほど嫌な思い出になるだろう。

「急で悪いんだけど、今日、夫が出張で私も着いて行くことになっちゃったの、
だからこのみを宜しくできるかしら?」
「別にいいですよ」
「あら?別にいいの?それじゃあ、このみのことを宜しくね、タカくん」
「はい、わかりました」

そう言って電話を切る。にしても、このみが泊りに来るかぁ、
一年位泊りに来ていないから、久しぶりだな。
でも、珊瑚ちゃん達に電話した方がいいのだろうか? そう思っていると、再び電話が鳴る。

「はい、河野です」
「やっほ〜〜☆」

……この口調は珊瑚ちゃんだな。

「と、思わせて置いて、ウチや貴明」

その場ですっ転ぶ俺。
珊瑚ちゃんだと思ったら瑠璃ちゃん!?

「なにすっ転んでるんや貴明」

よ……読まれてる!!

「ど……どうしたの、電話をしてきて」
「あっ、そのことなんやけど、実はウチとさんちゃんとイルファと一緒に研究場に行くことになったんや。
貴明も一緒にどうや?」
「……ごめん、実は今日は突然、このみが泊りに来ることになったんだ」
「……貴明、このみと変なことしたら、殺すからな」

うわぁ〜〜、瑠璃ちゃんが怒っているのが電話から伝わってきてる〜。

「変なことはしないって、このみは幼馴染みで妹みたいな関係なんだからさぁ、
瑠璃ちゃんは心配しなくても大丈夫だよ」

俺がそう言ったら、瑠璃ちゃんは納得したふうにして言った。

「そうなん?それならええけど……じゃあ、そろそろいくな」
「うん、気を付けてね」
「了解や!」

瑠璃ちゃんが電話を切ったので、こっちも切る。





数時間後……。

「お邪魔しまーす」

外が夕焼けに染まっている時間帯にこのみが約束どうりに泊りに来る。

「少し遅めだったな?」

そう聞くと、このみは両手にぶら下げている物を俺に見せた。

「えへ〜。先にお買物に行っていたでありますよ〜」

このみが両手にぶら下げていた物は買い物袋で、中身までは見えない。

「それじゃあ、ご飯作るね」

そう言って、台所に迎うこのみ。

「今日はこのみ特製カレーでありますよ〜」

ん?確か、俺の家に泊りに来る時は必殺カレーだったよなぁ。なんでこのみ特製カレーなんだぁ?

「楽しみにしててねタカくん」

まっ、いいか、じゃあ楽しみにしてますか。



一時間後。

「お待たせ〜タカくん」
「へ〜、わりとまともに出来てるじゃん」

テーブルの上に乗っているカレーを見ながら、そう言ってみると…。

「えへ〜、当然だよ」

案の定のセリフが返って来た。

「じゃあ、食べるとしますか」
「うん、いただきます」
「いただきます」

そう言って、まず一口カレーを食べてみる。

「どう?、美味しい?」
「うん、美味いよ、このみ」

正直言って、ここまで美味いとは、このみも料理を作るの上手くなってるんだな。

「本当に!!」
「ああ、嘘じゃないって」
「やったぁ〜〜!!」

幸せそうな笑みをうかべて、バンザイするこのみ。
こうゆう所は珊瑚ちゃんと似てるよなぁ〜。
その後、カレーを食べ終えてからは、一年前と同じふうに、一緒にテレビを見て時間を潰して、
このみが風呂に入っている間にこのみが寝る部屋に布団を敷いておく。
そうやって時間は確実に過ぎていった。





「ふわぁ……」
「眠いか?」

時刻が十二時を回った辺りでこのみが眠そうにしているので、聞いてみると。

「うん……」
「じゃあ、寝るか」

そう言って立ち上がると、このみも立ち上がって、寝室へ向かう。
俺も自分の部屋に行って、寝ることにした……。





朝の十時半。
私はタカくんの部屋の前に居た。

「……タカくん、起きてる!?」

そう言いながらドアを開けると、タカくんはベットの上で寝息を立てながら眠っていた。

「……まだ、寝てるんだぁ〜」

静かにドアを閉めると、タカくんの近くに移動する。
そして、タカくんの顔を覗いてみると、当然心臓の音が高く鳴った。

「あ……タ、タカくん。い今だったら、誰にもばれないよね。」

タカくんの顔に自分の顔を近付ける私。

「……ごめんね、珊瑚ちゃん、瑠璃ちゃん、タカくん」

このみも、タカくんのことが大好きだから……、このみの初めてはタカくんがいいから。
そう思いながら、私はタカくんの唇に自分の唇を合わせた。
唇を離そうとした次の瞬間、後ろのドアが誰かによって開かれる。
慌てて後ろを振り向くと、そこにいた女の子は驚いている表情で私を見ていた……。

「な……なにをしてたん、このみ……。」

その女の子は、瑠璃ちゃんだった……。













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〈後書き〉
今回のSSなのですが、珊瑚ちゃんは今回、お休みにさせてしまいました。
珊瑚ちゃんファンの皆さん、すみません!
最後辺りではこのみの貴明に対しての気持ちを書いてみました。
次回は瑠璃ちゃん視線でいく予定です。
では、このSSを読んで下さいまして、ありがとうございました。
感想を頂けると非常に嬉しいです。では!。


<管理人の一言>
こ、これはもしかしなくても修羅場か!?
交錯するこのみと瑠璃ちゃんの気持ち。
きっと次はこのみと瑠璃ちゃんのデスマッチですね(それは違う
貴明の行動にも注目です!


感想、誤字等については掲示板にお願いします。



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